JST News (2009年10月号) に掲載されました。- 2009年10月1日 -

理論計算によって、可能性のある化合物合成経路を評価、順位付け! 病気によく効く薬が次々と現れれば……そう願う人は多いでしょう。しかし、ひとつの医薬品を作るには、長い年月とばく大な費用がかかります。 医薬品開発には、材料となる化合物を見つけ出す「スクリーニング」と、研究室レベルで効果や安全性を確認する「非臨床試験」、そして被験者に薬を投与して結果を検証する「臨床試験」の3つステップがあります。 化合物のスクリーニングだけでも、何百通りも実験を繰り返さなければならず、長年の経験と知識が求められる作業となります。たいへんな労力をともなうそのスクリーニングの工程を、コンピュータによる「理論計算」でサポートするのが、 山口大学理工学研究科・堀憲次教授の研究開発をもとに設立された大学発ベンチャー企業=Transition StateTechnology( TSテクノロジー)株式会社です。 化学反応をシミュレーションする試みはこれまでも行われてきましたが、理論計算時間の膨大さなど、実験によるスクリーニングにはおよびませんでした。しかし、堀教授らが構築したデータベース(TSDB=遷移状態データバンクシステム) を活用することで、スクリーニングにかかる時間を半分程度、開発費も最大3割程度削減できると期待されています。 また、すでに販売されている医薬品についても、より安く、効果的な合成経路が発見できる可能性があります。このサービスに注目する企業は多く、すでに数社と契約を結び共同研究を開始しています。