エステルの酸加水分解反応
エステルの酸加水分解の機構
一般的なエステル,アミドの反応機構(例 March’s Advanced Organic Chemistry)
- カルボニル酸素にプロトン化したエステルと水分子からなる四面体型中間体は構造最適化されなかった.
- 酢酸メチル,アセトアミド:MP2/6-31+G(d,p)//MP2/6-31+G(d,p)
- 予測システムのための計算:B3LYP/6-31G(d)
アセトアミドの酸触媒機構のIRC計算結果
アセトアミドの酸触媒機構のエネルギーダイアグラム
酢酸メチルの酸加水分解(AAC2)機構
酢酸メチルの酸加水分解(AAL2)機構
結論
- AAC2機構の四面体型中間体の形成には,2分子の水を考慮することが必要である.
- AAC2機構での酢酸メチルの酸加水分解の律速段階は,四面体型中間体の分解であることが確認された.計算された活性化エネルギーは18. kcal mol-1 は,実測に近い.ただし,反応物としては,最安定な構造ではなく,遷移状態に類似した構造のものを用いた.
- AAL2機構の活性化エネルギーは 24.7 kcal mol-1 と計算された.この値は, AAC2 機構の値に比べて, 9.9 kcal mol-1高い
- アセトアミドのAAC2 機構での酸加水分解の際に形成する四面体型中間体は,2つのOHおよびNH3部分を有する.これは,エステルの四面体型中間体とは異なる.
律速段階は,四面体型中間体の形成反応で 24.7 kcal mol-1と計算された. - 賛成条件下では,四面体型中間体は容易に分解される