溶媒効果評価
既存の計算方法(溶媒和自由エネルギーの算出)
- Monte Carlo(MC)シミュレーションやMolecular Dynamics(MD)法
- 多くが古典力場を用いている。
- 溶媒ポテンシャル等のパラメータが必要
- 量子化学計算結果となじみにくい
QM/MC法
- 各アンサンブルのエネルギーを、量子化学計算(QM)で算出.
- 溶媒ポテンシャル等のパラメータが不要.
- 溶媒分子と溶媒分子との構造的な関係が分かる.
- 但し、数十~数百回のQM計算が必要で、計算コストが高い.
- FEP法と組み合わせ、溶媒効果自由エネルギーの算出が可能。(QM/MC/FEP法)
- 良好な結果が得られたため、数多くの反応の溶媒効果の評価を実施中
MO/MC法計算アルゴリズム
- サンプリング方法
- メトロポリスの方法
- 計算モデル
- 第一溶媒和圏を包む液滴モデル、NPTアンサンブル
- 溶媒和エネルギーの算出
- 溶媒-溶質クラスタ(Δ Eaq)及び、溶媒クラスタ(Δ EH2O)の2つエネルギーをステップ毎に計算
- Δ EaqよりΔ EH2Oを減算することで、溶媒和エネルギー(Δ Esol)を算出する
- 界面効果、溶媒構造に起因するエネルギー差の排除
溶媒効果に関する理論的計算
- 溶媒効果を量子化学的に評価するための新手法QM/MC法を開発
T.Yamaguchi,M.Sumimoto,K.Hori,Chem.phys.Lett.,460,331-335(2008).
FEP法(QM/MC/FEP)
FEP法による計算
- 反応物~TS~生成物間のIRC(真空中)の各構造を接動構造として利用。
- 構造間の開きが大きい場合はZ-matrixを用いて補間。
計算方法
反応解析(QM計算)
- メチルビニルケトン(MVK)とシクロベンタジエン(CP)のDiel-Alder反応
- 計算レベル:B3LYP/6-311+G*
- Cope脱離反応
- 計算レベル:MP2/6-311+G**//B3LYP/6-31G*
シミュレーション概要
- モデル:液滴モデル アンサンブル:NPTアンサンブル(29.15k,1atm)
- 溶媒分子数は、溶質(TS)とクラスタの体積及び、溶媒の密度より決定
- 各摂動構造において、40,000回のQMエネルギー計算を行って平均化差溶媒和自由エネルギー(⊿⊿Gsol)を算出。
QM/MC/FEP計算結果
- 相対的溶媒和自由エネルギーは、摂動構造に従って滑らかに遷移している。
- 各溶媒における溶媒和エネルギーの違いが明確に分かる。
Diels-Alder Reaction(MVK+CP)
Cope Elimination
Cope脱離反応の溶媒和自由エネルギー変化
Kemp Decarboxylation