2021年02月16日   研究情報公開

パラ水素誘導分極によるフマル酸代謝の超分極13C磁気共鳴イメージング(生体内研究における概念実証)に関する論文が公開されました

弊社の受託計算結果を採用して頂いた、「パラ水素誘導分極によるフマル酸代謝の超分極13C磁気共鳴イメージング(生体内研究における概念実証)(Hyperpolarized 13 C Magnetic Resonance Imaging of Fumarate Metabolism by Parahydrogen‐induced Polarization: A Proof‐of‐Concept in Vivo Study)」に関する論文が公開されました。

 超分極13Cフマル酸は、さまざまな疾患やがん性病態に関与する細胞壊死のバイオマーカーとして有望な磁気共鳴画像法(MRI)用分子です。パラ水素誘起分極(PHIP)を用いて超分極13Cフマル酸の代謝をMRIで観察する可能性を示すために、溶解型動的核分極(dDNP)に代わる低コストな方法として、前駆体である超分極13Cアセチレンジカルボン酸(ADC)の高収率かつコスト効率の高い合成経路が開発されました。
 ADCのルテニウム系触媒による水素化反応のトランス選択性を、密度汎関数理論(DFT)シミュレーションを用いて明らかにしました。シンプルなPHIP装置を使用することで、超分極13Cフマル酸の超分極を実現し、13C分極が十分に得られました。これにより、フマル酸から代謝された13Cマロン酸のマウス肝臓組織ホモジネートにおけるex vivo検出、およびアセトアミノフェン誘発性肝炎モデルマウスにおけるin vivoの13C MRスペクトルおよびイメージングが可能となりました。

  • Stewart, N. J.; Nakano, H.; Sugai, S.; Tomohiro, M.; Kase, Y.; Uchio, Y.; Yamaguchi, T.; Matsuo, Y.; Naganuma, T.; Takeda, N.; Nishimura, I.; Hirata, H.; Hashimoto, T.; Matsumoto, S. Hyperpolarized 13 C Magnetic Resonance Imaging of Fumarate Metabolism by Parahydrogen‐induced Polarization: A Proof‐of‐Concept in Vivo Study. ChemPhysChem 2021, 22 (10), 915–923. DOI: 10.1002/cphc.202001038