2023年07月12日   研究情報公開

Prilezhaev反応において水分子が関与した反応機構に対する理論的研究に関する論文が公開されました

弊社が、山口大学・産総研と共同で進めている、「Prilezhaev反応において水分子が関与した反応機構に対する理論的研究(Theoretical and Experimental Mechanistic Study of Water Molecule Involvement in the Prilezhaev Reaction)」に関する論文が公開されました。

 Prilezhaev反応は、アルケンとm-クロロ過安息香酸(mCPBA)などの過酸を用いてエポキシドを生成する反応です。この反応は、一段階の協奏的機構で進行します。有機合成で使用されるmCPBAは、爆発性を抑えるための水を含んでいますが、水の反応への影響についてはこれまで考慮されてきませんでした。
 本研究では、水が反応機構に与える影響を調べるために、スチレンとmCPBAとの間のPrilezhaev反応における熱力学的パラメータを求めました。溶媒効果を含む活性化自由エネルギーは、SMD法およびQM/MC/FEP法を用いて計算しました。その結果、水分子が2つ直接関与する反応の熱力学的パラメータは、協奏的機構に基づくものよりも実験データと良い一致を示しました。この結果は、水を含む溶媒中では、水分子がmCPBAを介したPrilezhaev反応の進行に関与していることを示唆しています。

  • Kawahara, E. M.; Ogawa, M.; Yamato, S.; Yamaguchi, T.; Hori, K.; Sumimoto, M. Theoretical and Experimental Mechanistic Study of Water Molecule Involvement in the Prilezhaev Reaction. Phys. Chem. Chem. Phys. 2023, 25 (27), 18102–18108. DOI: 10.1039/D3CP00820G