2025年02月28日   研究情報公開

TSモチーフによる化学反応の分類に関する論文が公開されました

弊社が、産総研・奈良先端科学技術大学院大学・山口大学と共同で進めている、「TS(遷移状態)モチーフを用いた化学反応の分類(An Attempt to Classify Elementary Reactions on the Basis of TS Motifs)」に関する論文が公開されました。

 有機合成化学で一般的に使用されている反応は、それを発見または開発した人物の名前にちなんで命名されています。これらは「人名反応」と呼ばれ、一般的に複数の素反応から構成されています。量子化学計算により、これらの素反応の遷移状態(TS)構造を最適化することが可能です。遷移状態の幾何学的特徴は「TSモチーフ」と呼ばれています。私たちは、TSモチーフに関する情報を収録したデータベース(QMRDB)を構築し、現在もデータの蓄積を続けています。
 本研究では、QMRDBから102個の素反応を抽出し、Kohonenの自己組織化マップを用いて分類を試みました。その結果、すべてのTSモチーフがクラスタリングされました。生成されたKohonenマップに対象化合物を投影することで、対象に最も類似したTSモチーフを容易に見つけることができると期待されます。

  • Hori, K.; Matsuo, Y.; Yamaguchi, T.; Funatsu, K. An Attempt to Classify Elementary Reactions on the Basis of TS Motifs. Molecular Informatics 2025, 44 (2), e202400040. DOI: 10.1002/minf.202400040